青春小説(予定)の断片    ※「最後の模擬授業」

 「北川君、悪いけど、ちょっと倉庫の整理頼めんか?」

「大丈夫ですよ、主任。やります。」

その日僕は、バイト先のスーパーで残業を頼まれ、普段より30分ほど遅れてキャンパスへ向かった。四月から履修している川崎先生の「英語コミュニケーション論」出席のためだ。

「文法」ではなく、「通じる英語」を主眼にし、聞く、話す、つまりコミュニケーションを中心に学ぶ授業である。